【書評】『転職と副業のかけ算』は安定のない時代の本当の安定とは何かを教えてくれる

「転職と副業の掛け算」が色んなところで話題になっていて僕も発売日に購入し、昨日読み終えた。

著者はmotoさんという方でサラリーマンとしての年収が1,000万超、副業としてwebサイトの運営も行っておりそこからの収入が4,000万円のトータル年収5,000万円という化け物だ。

年収も化け物だが、Twitterのフォロワーはなんと6万超で、Twitter上の質問箱ではいわゆる「アンチ」的な人にも丁寧に回答していたり、voicyでは発信されているキャリアの考え方に関する内容だけでなく、声までイケボなのだ。

人間が出来すぎやしていないかい?と思うが、本書からはどのようにmotoさんが年収5,000万円に至ることが出来たのかが、書かれており、キャリアやお金に関する考え方は、サラリーマン・サラリーウーマンにとって本当に参考になるのでまだ手に取っていない方はぜひ手に取ってほしい。

内容もわかりやすく平易に書かれていて、転職や副業を変に煽っているところもないので、読後は「いやーがんばろ」と素直に思うことが出来ると思う。

 

サラリーマンにとっての安定とは

高度経済成長期からバブルにかけてサラリーマンは安定の代名詞だった。

人口ボーナスのおかげで給料は毎年上がり、経費は使い放題、多額の住宅ローンを組んでも土地・不動産の価格が上昇し続けたことで資産になった。

平成に入ってバブルが崩壊し、リーマンショックがあった辺りからJALやシャープのような大企業でも倒産するようになり、倒産しなくても生産性の低い45歳以上のおじさんを対象に早期退職を計り、平成の終わりにはトヨタの社長と経団連の会長が「終身雇用はもう無理っす」と宣言し、神話と言われた終身雇用が終わりを告げようとしている。

平成を通じて日本のサラリーマンは安定の代名詞ではなくなってしまったのだ。

 サラリーマンが安定でなくなった令和の時代に本当の安定とは何か、という問いにmotoさんは「稼ぐ力である」という1つの解を本書を通じて僕たちに教えてくれる。

motoさんは現在32歳で、これまで転職を4度繰り返すことで年収を250万円→1,000万円までアップさせることに成功している。

いわゆるジョブホッパーというやつだ。

転職を繰り返すと年収は下がる、とエンゼルバンクで習ったのだが、戦略によってはそんなことはないらしい。

出典:エンゼルバンクより

 Motoさんは転職を繰り返す中で「稼ぐ力」を身に付けてきたという。職が変わるたびに少しずつ出来ることを増やしていき、企業にとって「欲しい」、つまりキャッシュを生み出してくれる能力や経験を積んでいった。

加えて自身が経験した転職やキャリアに関する情報を発信することで、情報発信による副業収入もupさせていった。

まさに本のタイトル通り転職と副業を掛け合わせて、稼ぐ力を磨いてきたと言える。

 

人的資本の最大化が安定に繋がる

『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方』などで有名な橘玲先生の本には、資本主義社会の中で経済的成功を収めるために必要なことは以下の3つだと書かれている。 

経済的成功に必要な3つの要素

  1. 人的資本
  2. 金融資本
  3. 社会的資本

人的資本はサラリーマンとして給料をもらったり、自営業や副業などから得られる収入、金融資本は株や債券、定期預金など金融資産を保有していることで得られる収入、社会的資本は周囲の人に仕事を紹介してもらったり、なにかあった時に助けてもらえる能力のことであり直接的な現金収入というわけではないが、人間社会で生きていく能力としては重要な資本だ。

 橘玲先生はこの中で最も効率がよいのは人的資本の最大化であり、特にこれからの人生100年時代には定年制を超えて働くことができる、つまり「稼ぐ力」が欠かせなくなってくる、と複数の著書で述べている。

今年に入ってから年金問題が大きく取りざたされるようになった。

「老後2000万円足りない!」と金融庁がレポートを出したことから、年金を保証しない政府に対して庶民は怒った。

だが怒っても仕方ないのだ。革命を起こさない限り今の状況が劇的に変わるわけではなく、だれもそこまではしないのだから、ルールの中で個人の幸福を最大化させるよう努力しなければならない。

60歳で退職して2000万円足りないのであれば、再雇用で65歳、70歳まで働けばいいし、アルバイトしたっていい。

日本を除く多くの欧米の国々では年齢による差別だとして定年制は存在していないし、日本もいずれはそうなっていくだろう。

 

だが高齢になって誰でもできる仕事、いわゆるマックジョブで働くのはキツイと思う。

だからこそ、若い時から人的資本の最大化に資するよう、可能な限り自己に投資し、長い期間をかけて「稼ぐ力」を磨いていくことが必要だと思う。

僕の知人(と言っていいかはわからないが)には、週に12回企業の相談に乗ることで役員報酬を得ている高齢の会計士や税理士の先生がいらっしゃって、羽振りもよくなんとも羨ましい。

だから会計士や税理士がよい!と言っているわけではない。

もちろん会計士でも定年後に仕事がない人もいるので、その人が「どうやって稼ぐか」を長い期間かけて試行錯誤した結果、自分の得意な分野で無理のない範囲で働き、僕のような若者に軽く寿司を奢ることが出来る経済的豊かさも手に入れることが出来たのだろう。

 

「日々是決戦」として仕事を捉えてキャリアを作りあげる

Motoさんは月に1度は自分の職務経歴書を見直しているそうだ。

「今月はコレができるようになった。来月はコレが出来るようになるな。転職エージェントによると、次に行きたい業界・企業ではこの能力・経験が求められているから、いついつまでに職務経歴書に書けるように上司に掛け合ってみよう」

市場での自分の立ち位置、売れる値段を考慮しつつ、日々の仕事で何ができるようになるか、どう結果を残すか、ということを常に考えている。

出典:エンゼルバンクより

 多くのサラリーマンが上司から与えられた仕事をこなし、飲み屋で上司の愚痴を言いつつ、また次の日も上司の顔色をうかがいながら作業をこなすのとは次元が違う。

日々の業務を本当の意味で「自分事」としてとらえることで、その仕事のパフォーマンスも最大化し、結果として次の転職につながり、副業にも活きる、という好循環を生み出している。

代々木ゼミナールの教室には日々是決戦という言葉が貼られている。

受験勉強は日々の積み重ねが合否を左右し、そういう意味で日々是決戦なのである、という意味だと思っているが、これはサラリーマンにも当てはまる。

日々漫然と作業をこなすことで、生きているサラリーマンと、motoさんのように日々の業務で何が得られるか、何を生み出すかを志向し続けているサラリーマンは日々の生産性はさることながら、それが積みあがっていくと、とんでもない差を生むことになり、結果として年収や安定として如実に差が可視化されてしまう。

近年、みずほ銀行など大企業も副業を解禁し始めていて、この傾向は政府主導であることから今後も拡大するだろう。

今まで会社に寄りかかって生きてきたサラリーマンも「なんとかしなきゃ!」と焦って、謎めいたおやじブログを生み出たりしてしまいがちだが、まずは自分の今までやってきた業務を棚卸することで、「あれ?意外に自分って色々やってんじゃん」と自信につながることもあるだろう。

「あれ?今まで10年近く働いて、俺はいったい何をやってたんだ?」と絶望しかけた方は、日々の業務がどうやったら市場で評価されるのか、を考えて働き方を顧みるのはいかがだろうか。そうすればきっと市場価値だけでなく、部下からの評価もうなぎ登り間違いなしだ。 

 

 

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