若いうちに経済的自由を達成してムカつく上司に「もう金いらねえんで会社辞めるわ」と言いたい。
そんなことを夢見る若者は多いはずだし、自分もそのうちの1人だ。
日々満員電車に揺られ、意味があるのかないのか分からない資料を作り、上司の意味不明な要求に応え、遅くまで残業してまた電車に揺られ返って寝るだけ、という生活をしていると「え?何のために生きてるんだっけ?」と思うことがる。
しかしそれを自力で突破し、なんと30歳という若さで資産7,000万円を築きセミリタイアを達成した人が登場した。
Twitter上でも話題になっていて、「すごい!」「自分もがんばろうと思いました!」などこの生きづらい世の中の若者に希望を与えた。
しかしその一方で「うん。セミリタイアは無理だな…」と絶望した人も一定数居たようで、僕もその類だ。
30歳でセミリタイアを果たした三菱サラリーマンとは
30歳でセミリタイアを達成した三菱サラリーマンとは一体どんな人物なのか。
ブログを見た限りの特徴は
- 三菱系の高給サラリーマン(5年目で手取45万円?)
- 14歳からFXに手を出す
- 慶応義塾大学卒
- 中国語が話せる?(北京大学留学)
- 手取給料の8割を投資に回している
- 徹底的な節約志向
- Twitterのフォロワーは3万弱
- 駐在も経験済
- 年間の受取配当金は300万円近く?
- 資産は7,000万円超
自分とほぼ同い年とは思えないほど高スペックだ。
加えてブログやTwitterで公開しているその節約ぶりから非常にストイックな性格であることが見て取れる。
すでに退職が決定されたようだが30歳現在の年収は1000万円を優に超えているようで、それだけ稼いでいれば少しは、いや少しどころか結構な贅沢をしたくなるのが人間の常だが、彼は徹底的に節約を行っている。
- 散髪は自分で
- 歯磨き粉・シャンプーは使わない
- 定期圏外にはいかない
- 外食禁止
- 読書は図書館
- 飲み会は不参加
- 10kmくらいなら余裕であるく
- コンビニ禁止
- だいたい白湯飲んでる
地方の団地主婦だったらあり得そうだが、資本主義の権化みたいな街である東京に住んでいて、その誘惑に全く惑わされないストイックさには脱帽させられる。
スタバのフラペチーノをすすっている僕とは次元が違う。でも歯磨き粉は使ったらいいんじゃないかな、とも思う。
普通のサラリーマンも真似できる再現性が高い?三菱サラリーマンの投資法
三菱サラリーマンの投資法はTwitter上でも非常に人気を集めていてフォロワーはなんと2.9万人だ。
彼の資産形成手法が非常にシンプルで、再現性が高く、「自分でもがんばれば出来そう!」というのが、「もう金いらねえんで会社辞めるわ」と言いたい多くのサラリーマンを惹きつけている理由だろう。
彼の投資法は非常にシンプルだ。
- めっちゃ稼ぐ
- めっちゃ節約する
- めっちゃ投資する
全く特別な方法ではない。
先日僕が書いた高配当株投資に関する記事の中でも紹介した手法で、近年欧米の若者の間でも浸透しつつある”FIRE”の考え方に沿ったものだ。
「FIRE」とは、Financial Independence Retirement Earlyの略で要は若いうちに多くのお金を稼いで、節約して、株式や不動産投資にお金を回して、生活費を上回る不労所得を得られるようになったら退職して、自分が本当にしたいことをしよう、と言う考え方だ。
海外の若者でもその過程をブログにしている人もいるので英語ができる人は海外の人のモデルも見てみると参考になることがあるかもしれない。
そしてその”FIRE”を地で行って30歳でセミリタイアまで持って行ったのが三菱サラリーマンだ。
手取年収は30歳にして1000万円超え(額面だと1,500万円近く?)、徹底的な節約、給与の8割を高配当株に投資とFIREに関する教科書があったら事例として出てきそうなレベルの、まさにお手本だ。
そしてシンプルであるからこそネット上で真似できそう、収入の過多はあれど、手法を真似れば近づけるのでは?と思う人が多いようだ。
僕も資産の一部を高配当株に投資をしていて、この投資手法が効果的であることは理解しているし、実際に生活は楽になっている。
しかしながら三菱サラリーマンのブログを見るたびに「いや、自分には絶対的に無理だ…」と絶望もした。
セミリタイアしたかったら圧倒的に稼ぐ力が必要だということ
多くの人を惹きつける三菱サラリーマンのセミリタイアの過程だが、真似できるか、というとYesでありNoである。(謎
Yesの部分としては、「投資手法は真似できる」というものだ。何度も言うが投資方法自体は非常にシンプルであり、僕自身も取り入れている。
稼いで節約して利回りの良い金融商品などに投資する。最近は比較的高配当な米国株を購入する手数料も下がってきていることから、多くの人が真似できるだろう。
実際に「米国株でセミリタイア」みたいなブログが金太郎飴のように量産されていて、内容はどれも似たようなものであることからも、その再現性の高さが伺える。
一方でNoの部分としては「結果は全く真似できない」ということだ。結果と言うのは投資のリターンと言う意味だ。
三菱サラリーマンは年間300万円近い配当金を得る見通しが立ったことからセミリタイアに至った。年間300万円と言えばちょっと給料の安い新卒の額面年収であり、もし上記の配当金が手取だったとしたら年収400万円くらいと同等レベルと言うことになる。
額面年収(万円) | 手取年収(万円) |
400 | 322 |
600 | 472 |
800 | 603 |
1,000 | 737 |
1,200 | 867 |
1,400 | 984 |
節約も徹底していることから彼の場合セミリタイアというのは問題なさそうだ。
ただその年間300万円近い配当金をわずか7年半と言う短期間で得ることが出来た理由は、その高い”入金力”である。
ブログによると社会人5年目ですでに年収が850万円で最近は駐在もしていたことから手取月収は80万円前後だったようだ。
これだけの年収を本業だけで稼ぐことが出来るサラリーマンが一体どれだけいるだろうか。
投資というのは元本がモノを言うこれまた資本主義の権化みたいな制度である。同じ5%の利回りでも100万円なら5万円、1億円なら500万円のリターンで、投資能力が全く同じでも複利によってその差はさらに広がっていく。
つまり結局は「稼ぐ力」がモノを言う世界で、その意味で三菱サラリーマンは稼ぐ力がめちゃくちゃ高い、ということだ。手取1000万円で8割~を投資に回せるとしたら年間で800万円超である。年金2,000万円不足問題など彼には全く関係ない世界だ。
賃金カーブもあるだろうが毎年これだけの額の貯蓄をして、投資をしての7年である。年間200万円貯金できるだけでもかなり優等生だと思われるが単純にその4倍だ。
そして年数を4倍すると30年近くになる。あれ?定年近くない…?
もちろんだから三菱サラリーマンの真似なんてやめておけ!ということではない。
彼のブログからは見習うべきところが本当にたくさんある。経済的自由を達成するためのマインド、節約術、投資対象への分析も金太郎飴のように量産されている「米国株でセミリタイア」ブログとは一線を画す。
高配当株投資を継続していれば、かなりの確率で生活は毎年楽になっていくのは僕も経験済みだ。
FIREの目指すところは若くて健康なうちに自分の時間を持とう、というのが根底にある。
その意味で三菱サラリーマンは教科書通りに達成したが、それは彼の優秀さにに依るところであり、多くの僕を含む平平凡凡なサラリーマンには真似できるものではないし、そんな優秀な三菱サラリーマンでもサラリーマンである限りセミリタイアするのにこれだけの年数を要したということは、セミリタイアを夢見る凡リーマンにつらい現実を突きつけたと感じた。
Tchau!!
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